近年、YouTubeやSoundCloudなどのSNSを通じて音楽シーンが注目され、新たなスターが続々と誕生しています。
今回紹介するArmani White (アルマーニ・ホワイト)もそのうちの1人で、これまで脚光を浴びることはあまりありませんでしたが、TikTokによって多くの人の目に触れるようになりました。
ここでは、Armani Whiteと彼がブレイクするきっかけとなったシングル「BILLIE EILISH.」について解説します。
Armani White – BILLIE EILISH. (2022)
楽曲情報
Armani White (アルマーニ・ホワイト)
出身地 :ペンシルベニア州ウェストフィラデルフィア
生年月日:1996年
ジャンル:Hip Hop
レーベル
Def Jam Recordings
Legendbound
プロデューサー
July Da Producer
元ネタ・サンプリング
N.O.R.E. feat. Pharrell Williams – Nothin’ (2002)
Armani White (アルマーニ・ホワイト)とは
音楽一家で育ったArmani Whiteは、幼い頃から音楽を作ることに興味を持ち、小学2年生のときからラップの練習を始めてラッパーになる決意を固めたようです。
2015年に「Stick Up」をリリースし、2019年に8曲入りのアルバム「Keep in Touch」をリリース。
Armani White – Stick Up (2015)
その翌年、Armani Whiteの自宅が火事になり、さらに彼と兄は不当に逮捕され、1年間法廷で争うこととなりました。
幸いにもすべての全ての容疑は晴れましたが、彼は2006年の火災でも家族4人を失っており、これらの出来事で失ったものへの悲しみと感謝を歌にしたEP「Things We Lost in The Fire」(2021)をリリース。
収録曲の「Watch Your Self」は、Spotifyで190万ストリーミング、YouTubeで70万再生を記録しています。
Armani White – Watch Your Self (2021)
TikTokでバイラルヒットとなり、Def Jamと契約を結ぶ
EPをリリース後、最初のプロジェクトとなったのがChris BrownやAugust Alsinaに楽曲提供しているプロデューサーJuly Da Producerがプロデュースしたシングル「BILLIE EILISH.」をドロップ。
この曲でArmani Whiteは「ハッピー・フッド・ミュージック」と表現し、痛みや苦労だけでなく、喜びや感謝も訴える多面的な音楽スタイルであり、故郷のフィラデルフィアに貢献したかったと語っています。
俺は長い間、フィリー(フィラデルフィア)のための誰かになりたかった。 この街は、俺に多くのインスピレーションを与えてくれて、特に俺のジャンルである「ハッピー・フッド・ミュージック」はそうなんだ。 俺は痛みから、より明るく、カラフルな方法で音楽を書いているよ。 俺はたくさんの痛みを経験したからね。 この街で多くのことを学んだんだ。 アグレッシブな環境の中で、より明るくカラフルな、よりハッピーなルートを選ぶという選択肢を与えてくれたんだ。 この街で育たなければ、そんなことはできなかったと思うよ。
リリース後、この曲はTikTokで410億回、Spotifyで6000万回という驚異的な再生回数を誇るバイラルヒットとなり、2022年7月には大手ヒップホップレーベルで知られるDef Jamとレコード契約を交わします。
この契約にあたり、Armani WhiteはInstagramでこれまでの苦労を振り返り「1年前、俺はすべてを失うのではないかと恐れて法廷に立っていたんだ」と述べ、契約できたことへの喜びを語っています。
10年の歳月をかけて完成したぜ!あらゆるドアをノックするよ。 世界が俺を聞くまで、できるだけ大きな声で自分の名前を叫んだんだ。 そして、俺と同じように一生懸命頑張っている人、もしくは全く頑張っていない人の隣にしか立たないようにしたんだ。 そして10年という長い年月を経て、ようやく帰ってきたんだ。 ここからが本当の仕事の始まりだ。 もしまだここまで読んでいるなら、これが君にインスピレーションを与えることを願っているよ。 実現するまで、全力で取り組んでくれ。 1年前、俺は法廷で、すべてを失いそうになるのを恐れていたんだ。 その日以来、俺はできる限り高く手を伸ばし、落ちてくるものをすべて掴もうと言ったんだ。 1年後、俺は欲しいものを全て手に入れ、さらに他のことまで手に入れた。 2022年最大のインディーズソング。 300億回再生。戦いは終わったんだ!
“BILLIE EILISH.” 元ネタ・サンプリング
N.O.R.E. feat. Pharrell Williams – Nothin’ (2002)
一躍世界中から注目を集めたArmani Whiteの「BILLIE EILISH.」ですが、この曲はニューヨーク出身のラッパーN.O.R.E.の「Nothin’」(2002)をサンプリングしています。
この曲は、N.O.R.E.の3枚目のアルバム「God’s Favorite」(2002)に収録され、アルバムは自身最高位となる全米チャート3位を記録。
このアルバムで5曲はThe Neptunesがプロデュースし、メンバーのPharrell Williams (ファレル・ウィリアムス)が参加した「Nothin’」は、R&B/Hip Hopチャートで2位を記録。
2002年の年間R&B/Hip Hopチャートでは10位にチャートインし、同じくThe NeptunesがプロデュースしたN.O.R.E.の1998年のヒットシングル「Superthug」を超える彼の代表曲となりました。
N.O.R.E. – Superthug (1998)
Jay-Z主催の音楽フェスに出演
8月にシングル「DIAMOND DALLAS.」(2022)をリリースし、翌月の9月にはJay-Zが主催するフィラデルフィアでの音楽フェス「Made in America」に出演し、Lil Uzi Vert、Jazmine Sullivanなどフィラデルフィア出身のアーティストと共演しました。
Armani White – DIAMOND DALLAS. (2022)
また、シングルのアナウンスと同時に、母親の誕生日に10万ドルをプレゼントしたことをInstagramで公開し「大好きだよママ、やったね」と感謝の思いを綴っています。
大好きだよママ、やったね💙💙💙 ママの幸せそうな顔を見るのは、レコード契約よりずっと価値があったんだ。 ママは俺が理解する前に、俺の命を救った。 みんなから俺が愛されてるのは、ママから学んだことだ。 10年生の時、初めてマイクを買ってくれた。 100ドルだったんだけど「俺を信じてくれ」ってお願いしたんだ(笑)。 それでママはは買ってくれたんだ。 10万ドルはママの価値の半分もない… ただ、今俺が買えるのはこれだけ😂💙 お母さん、誕生日おめでとう、本当に愛してる。 「DIAMOND DALLAS」は今週金曜日8/5だよ 🏆
火事で家族を亡くし、自らも裁判にかけらるなど壮絶な過去を経験したArmani Whiteは、今年TikTokからラップスター名を手にし、全米中から熱い視線を浴びこととなりました。
この機会に、元ネタと併せて彼の楽曲を聴いてみてはいかがでしょうか。
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