Lil Yachty×Veezeが再共演!新曲「Can’t Be Crete Boy」を解説|元ネタはThe Diplomatsの名曲「I’m Ready」

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2025年4月、アトランタ出身のラッパーLil Yachty (リル・ヨッティ)が、盟友Veezeと再びタッグを組み、新曲「Can’t Be Crete Boy」をリリースしました。公開と同時に、Lyrical Lemonadeによる独特な映像美のミュージックビデオも話題となり、SNSを中心に瞬く間に注目を集めています。

Lil Yachty & Veeze – Can’t Be Crete Boy (2025)

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自由とユーモアが交錯する独自の世界観

この「Can’t Be Crete Boy」では、Lil Yachtyが得意とする実験的で型破りなフロウが冴えわたり、Veezeとの掛け合いも自然なグルーヴを生んでいます。ビートはミニマルながらも重低音が効いた構成で、2人の息の合ったラップが曲全体に独特のリズム感を与えています。

タイトルにある“Crete Boy”は、“concrete boy(コンクリート・ボーイ)”の言葉遊びのようにも思えますが、これはストリート色の強い、いわば硬派なラッパー像を暗に示しています。そのうえでLil Yachtyは「自分はそんな型にははまらない」という意思表示を込め、「Can’t Be Crete Boy(自分はそういうラッパーにはなれない)」と宣言しているのです。

リリックでは、富とファッション、そして風刺的でユーモラスな比喩表現が随所にちりばめられ、Lil Yachtyらしさ全開の内容に。高級ブランドや金、女遊びといった要素も登場しますが、単なる自慢話ではなく、“本物”であることへの自信と、偽りの存在に対する警戒心を込めた力強いメッセージが響きます。

また、リリックの裏には恋愛に対する冷めた視点や、自分たちの成功の裏にある覚悟も見え隠れし、単なる派手さだけでは終わらない奥行きを感じさせてくれます。

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サンプリング元の楽曲とその背景

「Can’t Be Crete Boy」は、ニューヨーク・ハーレムで結成されたラップグループThe Diplomats (ディプロマッツ)(通称:Dipset)の「I’m Ready」(2003年)をサンプリングしています。

The Diplomats – I’m Ready (2003)

The Diplomatsが2003年リリースのデビューアルバム『Diplomatic Immunity』に収録されたこの曲は、Cam’ron(キャムロン)、Juelz Santana(ジュエルズ・サンタナ)、そしてJim Jones(ジム・ジョーンズ)の3人がマイクを回しながら、自信と覚悟を叫ぶようにラップする力強い1曲となっています。

プロデュースを手がけたのは、Dipsetサウンドの中核を担ったHeatmakerz。彼らの特徴でもあるソウルフルなサンプリング手法が光る本作では、Barbara Masonの1972年作「Yes I’m Ready」を大胆にサンプリング。

Barbara Mason – Yes I’m Ready

このサンプリングでは、女性ボーカルのフレーズをピッチアップし、繰り返し用いることで、哀愁と高揚感が同居した中毒性のあるトラックに仕上がっています。「I’m Ready(準備はできている)」というタイトルどおり、いつでも戦える覚悟を内に秘めた、The Diplomatsらしい闘志と美学が込められた楽曲です。

そんな名曲のエッセンスを現代のサウンドで再解釈したのが「Can’t Be Crete Boy」であり、Lil Yachtyの音楽的センスとリスペクトが感じられる仕上がりとなっています。

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アーティストとしての進化を映す1曲

Lil Yachtyはここ数年、ジャンルを越えた音楽性を追求しており、2023年のアルバム『Let’s Start Here』ではロックやサイケデリックな要素を大胆に取り入れ、アーティストとしての新境地を開きました。

今回の「Can’t Be Crete Boy」では、そうした実験精神は維持しつつも、ヒップホップのルーツへと回帰したようなシンプルで力強い仕上がりとなっています。派手な演出に頼らず、リズムとリリックだけで聴き手を引き込む姿勢は、まさに“自分らしさ”を貫くLil Yachtyの真骨頂といえるでしょう。

Veezeとの再共演によって、そのスタイルはより際立ち、2人の化学反応が音楽として形になった1曲です。

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おわりに

「Can’t Be Crete Boy」は、Lil YachtyVeezeが築いてきたスタイルと友情、そして彼らの美学が結集した作品です。ミニマルなビートにのせた印象的なリリック、サンプリングを通じて継承されるヒップホップの系譜、そしてユーモアと挑発が同居する映像表現──すべてがLil Yachtyならではの個性に満ちています。

今後、彼らがどのような楽曲を世に送り出していくのか。ヒップホップの枠にとどまらない表現を続ける2人の動向から目が離せません。

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