イギリス出身のシンガーEd Sheeran (エド・シーラン)は、2010年から2019年の間に12枚のシングルとアルバムが1位を獲得し、シングル「Shape Of You」は14週に渡って1位を獲得、450万枚以上を売り上げ、2010年代に最大のヒット曲となりました。
また、現在までに1億5000万枚を売り上げ、Spotifyでは10年でDrakeに次いで10年間で2番目にストリーミングされたアーティストとなり、2010年代の世界の音楽シーンの顔となっています。
そんな彼が、2023年1月に今年初のシングル「F64」をリリース。
この曲は、彼の友人であり、キャリアの初期からEd Sheeranをサポートしていたものの、2022年に亡くなったJamal Edwardsに捧げられたものです。
ここでは、この曲の元ネタとJamal Edwards(ジャマル・エドワーズ)という人物について解説します。
Ed Sheeran – F64 (2023)
“F64” 楽曲情報
リリース日
2023年1月19日
レーベル
Atlantic Records UK
プロデューサー
Fred again..
元ネタ・サンプリング
JAE5 feat. Dave & BNXN – Propeller (2022)
“F64” 元ネタ・サンプリング情報
JAE5 feat. Dave & BNXN – Propeller (2022)
元ネタになったのは、イギリス出身のプロデューサーJAE5の「Propeller」(2022)です。
彼は、イギリス出身のラッパーでAfroswingの開拓者とも言われているJ Husのデビューアルバム「Common Sense」(2017)のエグゼクティブプロデューサーを務め、Complex誌の「2017年のベストUKアルバム」に選ばれるなど高い評価得ています。
その後も、イギリスの人気ラッパーDaveやNSGをプロデュースし、Burna Boyの2020年のアルバム「Twice As Tall」の収録曲「Bank On It」を手掛け、アルバムはグラミー賞「Best Global Music Album」を受賞しています。
数々のヒット曲を生み出したJAE5は、Afroswingというフュージョンジャンルを開拓したとメディアから評価されており、前述のDaveとナイジェリア人シンガーBNXNと共に2022年にこの曲をリリースしています。
また、同年、Pheelzとコラボしたヒットシングル「Finesse」が世界中のオーディエンスから注目を集めたBNXNは、JAE5の「Propeller」について、次のように明かしています。
JAE5は俺のキャリアにおいて大きなインスピレーションを与えてくれる存在だ。 だから、彼と一緒に仕事ができるのは夢のようなことだった。 J Husが音楽を作るのと同じノウハウと同じパワーハウスの下で創作するチャンスだったんだ。 Twitterのおかげで超強力なリンクアップができたよ(笑) ラゴスで繋がって、一緒に曲を作って…。 彼がDaveを「Propeller」に参加させる計画があったとは知らなかったけど、彼らは友人だし、Daveはこの曲を気に入ってくれた。 ロンドンでも、Daveに会ったときに、この曲が自分にとってどんなに大切か、どんなに好きかを話してくれて、気分がよかったよ。 その時、初めてお互いに会って話すことができたんだ。 曲のことを話す彼の目には、喜びが溢れていたよ。 素晴らしいスマッシュ・レコードに参加できたことに感謝している。 この先も、俺たちの仕事は続くだろうね。
Pheelz feat. BNXN – Finesse (2022)
Ed Sheeranがこの曲で捧げるJamal Edwardsとは?
DJであり起業家でもあるJamal Edwardsは、学生時代にラップを始め、友人たちとMVを撮影し、YouTubeに投稿し、2006年に音楽メディアSB.TVを設立します。
SB.TVのコンテンツのほとんどは、彼らのYouTubeチャンネルやSB.TVの公式サイトで見ることができ、ここではフリースタイルのラップやMV掲載されています。
過去にはEd Sheeran、Jessie J、 Stormzy、Emeli Sandéなどの多くのアーティストたちのキャリアを後押ししてきました。
また、Jamal Edwardsは2021年にEd Sheeranのシングル「Bad Habits」のTion WayneとCentral Ceeが参加したリミックスのMVや、Fireboy DMLのシングル「Peru」のリミックスのMVの監督し、若者の起業を支援するユースチャリティである「プリンス・トラスト」のアンバサダーも務めています。
この「プリンス・トラスト」は、イギリス国王チャールズ3世が設立した慈善団体で、Jamal Edwardsは2013年にチャールズ皇太子と対談するなど、ロイヤルファミリーとの関係も築いていました。
しかし、2022年2月、彼は母親の家で娯楽用麻薬による心臓不整脈で、31歳の若さでこの世を去りました。
彼の死が発表された後、著名人などが彼の死を受けて声明を発表し、彼がアンバサダーを務めていた「プリンス・トラスト」の創設者である当時の皇太子チャールズ3世は「音楽における彼の仕事のみならず、プリンス・トラストのための仕事など、新しい世代のための大使としての仕事は、非常に多くの人々にインスピレーションを与えた」とTwitterに投稿しています。
多くの功績を残したJamal Edwardsについて、SB.TVはEd Sheeranの「F64」のYouTubeでの説明の中で、次のように明かしています。
昨年、私たちはリーダーであり創設者であるジJamal Edwardsを亡くしました。 彼は、私たちチームSBを支えてくれた原動力であり、私たちの人生を明るく照らしてくれた存在でした。 Jamalは、アーティストやクリエーターとユニークなつながりを持ち、つながり、創造しているときが一番幸せでした。 彼の旅は地元で始まりましたが、ユニークな絆を形成する過程で世界的な冒険へと旅立ちました。 その絆のひとつが、長年の友人であり兄弟でもあるEd Sheeranとの関係でした。 ツイートから、長く続く兄弟愛へ。 F64のフラッグシップ・シリーズの復活とともに、Ed SheeranはJamalへのトリビュートで幕を開けるのです。 SBTVでは、イギリスのアーティストを後押しし、サポートし続け、アーティストを新しい方法で結びつけます。 Jamalの遺産は、彼の素晴らしい業績、SBTV、そしてJamal Edwards Self Belief Trustを通じて生き続けることでしょう。
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