ラップグループThe DiplomatsのメンバーであるJim Jones (ジム・ジョーンズ)は、同グループのデビューアルバム「Diplomatic Immunity」(2003)がR&B/Hip Hopチャート1位を獲得してその名を知られるようになり、2004年にJim Jonesのソロデビューアルバム「On My Way to Church」をリリース。
2005年には、Juelz Santana、Diddy、E-40、Trey Songzがゲスト参加したセカンドアルバム「Harlem: Diary of a Summer」をリリースし、R&B/Hip Hopチャート1位を獲得。
その翌年に3枚目のアルバム「Hustler’s P.O.M.E.」(2006)をリリースし、2作連続でR&B/Hip Hopチャートで1位を獲得しました。
今回はこのアルバムから、リードシングルでもある「We Fly High」(2006)をピックアップ。
ここでは、この曲の元ネタと裏側について解説します。
Jim Jones – We Fly High (2006)
楽曲情報
Jim Jones (ジム・ジョーンズ)
出身地 :ニューヨーク、ハーレム
生年月日:1976年7月15日
ジャンル:Hip Hop
所属 :The Diplomats
レーベル
Koch Entertainment
Diplomat Records
プロデューサー
Zukhan
元ネタ・サンプリング
Rasputin’s Stash – Mr. Cool (1971)
“We Fly High” 元ネタ・サンプリング
Rasputin’s Stash – Mr. Cool (1971)
元ネタになったのは、イリノイ州シカゴで結成されたファンクバンドRasputin’s Stash (ラスプーチンズ・スタッシュ)の「Mr. Cool」(1971)です。
メンバー8人の大所帯バンドである彼らのこの曲は、デビューアルバム「Rasputin’s Stash」(1971)に収録。
また、ラッパーJIDの2022年のアルバム「The Forever Story」に収録されている「Money」は、このアルバムの「I’d Like to Know You Better」(1971)をサンプリングしています。
JID – Money (2022)
Rasputin’s Stash – I’d Like to Know You Better (1971)
「実はこの曲は嫌いなんだ・・・」ジム・ジョーンズが明かす
Jim Jonesの「We Fly High」は「Ballin’!」の掛け声と共に、バスケットボールのシュートする振り付けで広まり、全米チャート5位、ラップソングチャート1位を記録して、これまでの彼のキャリアで最も成功した曲となりました。
しかし、この曲のリリース後すぐにJay-Zは同じビートで「Brooklyn High」というJim Jonesに向けたディス曲を発表し「Ballin’!」のフレーズはJay-Zによって「Brooklyn!」のシャウトに変えられています。
Jay-Z – Brooklyn High
Jim Jonesと盟友Juelz Santanaは、すかさず「Beef Mix」と題したアンサーソングを発表して話題となりましたが、この一件についてJim Jonesは次のように語っています。
Jay-Zは賢い人だということを覚えておかなければならないね。 彼は食物連鎖の頂点にいる。 価値のない人をディスったりはしない。 それは、一文無しの人に注意を払うようなものだ。 だから、自分の名前を出してくれたり、曲の中で何らかの形でディスったりするのは、ある種の愛情表現みたいなものなんだ。
Jay-Zと一戦交わすも、彼からの反応を「愛情表現」と語るJim Jonesは、「We Fly High」について「実はこの曲は嫌いなんだ」と、当時を回想しています。
実はこの曲は嫌いなんだ。曲を聴くとうんざりするんだ。 でも、実は愛憎半ばする関係なんだ。 あの曲は、俺がこのラップゲームに参加し、違うレベルの成功を収め、ビジネスをする人たちと違う部屋に入ることになったとき、俺を他の人とは違う存在にしたんだと思う。 しかしその反面、10年後、あの曲は俺の脳裏に穴を開け、聞くたびにぞっとするほど嫌な気分にさせる。 クラブに入ったら、DJは間違いなく曲をかける。 クラブに入るときは、ヤツらに自分がクラブにいることを知らせずに、隅っこのほうで低くしていることが多いよ。 しかし、それは祝福であり、贈り物であり、呪いでもある。 この曲が流れてきて、みんなが歌詞を引用してジャンプシュートをするのを見ると、同時に笑顔になるんだ。
この機会に、元ネタと併せて聴いてみてはいかがでしょうか。
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