Kendrick Lamar (ケンドリック・ラマー)が2017年に発表したアルバム「Damn」は、発売初週に60万以上を売り上げ、前作「To Pimp a Butterfly」(2015)に続き、2作連続で全米チャート1位を獲得。
Kendrick Lamarは収録曲の「Humble.」で、リードアーティストとして初めて全米チャート1位を獲得し、グラミー賞では3部門を受賞。
また年間アルバムチャートでも1位に輝き、音楽メディア誌ローリングストーンによる「史上最高のアルバム500枚」に選出され、音楽史にその名を刻むこととなりました。
そんな彼が、ソロ名義では約5年振りとなるシングル「The Heart Part 5」(2022)をドロップ。
この曲は、YouTubeで公開されてから4日で2000万再生を記録し、多くのオーディエンスが彼の新曲を待ち侘びていたことが伺えます。
ここでは、この曲の元ネタについて解説します。
Kendrick Lamar – The Heart Part 5 (2022)
楽曲情報
Kendrick Lamar (ケンドリック・ラマー)
出身地 :カリフォルニア州コンプトン
生年月日:1987年6月17日
ジャンル:Hip Hop
レーベル
Interscope Records
Aftermath Entertainment
Top Dawg Entertainment
pgLang
プロデューサー
Beach Noise
元ネタ・サンプリング
Marvin Gaye – I Want You (1976)
“The Heart Part 5” 元ネタ・サンプリング
Marvin Gaye – I Want You (1976)
元ネタになったのは、ワシントンD.C.出身のシンガーMarvin Gaye (マーヴィン・ゲイ)の「I Want You」(1976)です。
この曲は、ソウルアルバムチャートで1位を獲得した彼の14枚目のアルバム「I Want You」(1976)に収録。
同タイトルのこの曲は、Marvin Gayeの37歳の誕生日の前日にリリースされ、ソウルシングルチャート1位を獲得し、グラミー賞の「最優秀R&B男性ボーカル賞」にノミネートされています。
しかしこの曲のヒットの裏側では、元々シンガーのLeon Wareのアルバムに収録する予定だったことが明らかになっています。
これは、レーベルMotownと契約していたLeon Wareは、レーベルのCEOにラフ案を提出したところ、Marvin Gayeに楽曲を提供するように説得されことから始まります。
当時、Marvin Gayeはライブアルバム「Let’s Get It On」をリリースしており、アルバムとツアーの成功にもかかわらず、完璧主義者の彼は次のアルバムの制作に頭を悩ませていました。
そこで、この曲をLeon Wareから聴かされたMarvin Gayeは、当時の恋人Janis Hunterとの関係に触発され、レコーディングする動機に結びついたようです。
またリリース後は、Mary J. Bligeの「Be Happy」(1994)をはじめ、これまでに50曲以上でサンプリングされており、現代のブラックミュージックに大きな影響を与えた曲でもあります。
Mary J. Blige – Be Happy (1994)
終わりに
今作は、Kendrick Lamarのアルバム「Mr.Morale & the Big Steppers」(2022)からリードシングルで、彼は長年所属していたレーベルTop Dawg Entertainmentから最後のアルバムになると明言しています。
俺の最後のTDEアルバムを制作しながら、17年後にこのような文化的な刻印の一部であったことに喜びを感じているよ。 苦労したこと。成功。そして最も重要なのは同士であることだ。
これに対し、Top Dawg EntertainmentのCEOであるAnthony Top Dawg Tiffithは、レーベルを離れた後もサポートを続けること明かしています。
俺らがこの活動を始めた時の目標は、音楽を作り、お金を稼ぎ、歴史を作ることだった。 我々は10倍以上、そしてそれ以上のことをしたんだ。 彼が何をするにしても成功することは間違いないし、我々は全面的なサポートをするよ。 Top Dawg Entertainmentとしては、これからも成長し続け、発展し続け、アーティストが選択するどんな方法にも展開できるプラットフォームを提供するつもりだ。
この機会に、元ネタと併せて聴いてみてはいかがでしょうか。
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