カリフォルニア州カーソン出身のラッパーBaby Keem (ベイビー・キーム)は、2019年にシングル「Orange Soda」で注目を集め、翌年に行われたXXL誌による「Freshman Class 2020」に選ばれて脚光を浴びることになりました。
2021年には、デビューアルバム「The Melodic Blue」をリリースし、Kendrick Lamar (ケンドリック・ラマー)とのリードシングルの「Family Ties」はグラミー賞「最優秀ラップパフォーマンス賞」を受賞しました。
そして今回、Baby KeemはKendrick Lamarとのコラボシングル「The Hillbillies」をリリース。
ここでは、この曲の元ネタについて解説します。
Baby Keem & Kendrick Lamar – The Hillbillies (2023)
“The Hillbillies” 楽曲情報
リリース日
2023年5月30日
レーベル
pgLang
Columbia Records
プロデューサー
EVILGIANE
元ネタ・サンプリング
Bon Iver – PDLIF (2020)
Drake – Sticky (2022)
“The Hillbillies” 元ネタ・サンプリング情報①
Bon Iver – PDLIF (2020)
元ネタになったのは、ウィスコンシン州オークレアで結成されたインディーフォークバンドBon Iver (ボン・イヴェール)の「PDLIF」(2020)です。
「Please Don’t Live in Fear(訳:恐怖の中で生きないでください)」の略であるこの曲は、彼らが2019年に発表した4枚目のアルバム「I, I」以来のシングルとなりました。
制作にあたっては、パンデミックにより隔離されたメインボーカルのJustin Vernonとコラボレーターの間でデジタル的にパートを受け渡しして作られた楽曲で、楽曲の収益の100%は医療機関に寄付されたようです。
また、Justin Vernonはこの曲について次のように明かしています。
この曲は、離れていても決して1人ではないこと、コラボレーションとコミュニティの重要性を、これまでと同じように強く意識させるものなんだ。
“The Hillbillies” 元ネタ・サンプリング情報②
Drake – Sticky (2022)
さらに「The Hillbillies」は、カナダ、トロント出身のラッパーDrake (ドレイク)の「Sticky」(2022)をサンプリングしています。
この曲は、彼の7枚目のアルバム「Honestly, Nevermind」(2022)に収録されており、アルバムはDrakeにとって11枚目の全米チャート1位を獲得しました。
タイラー・ザ・クリエイターがカメオ出演!
Baby Keemの「The Hillbillies」がリリースされた後、ファンはこの曲でBaby KeemのフローとDrakeの「Sticky」のフローとの類似点に注目しました。
これについて、Baby Keem自身もTwitterで「Baby Keem & Kendrick Lamar – The Hillbillies (Sticky Dub)」と呼んでいることから、2つの曲の類似性をディスと解釈する人もいれば、トリビュートと捉える人もいるようです。
また、この曲のMVはBaby Keemの「Family Ties」のMVも手掛けたNeal Farmerが監督を務めており、ラッパーのTyler, the Creatorがカメオ出演しています。
このMVの中で、Tyler, the Creatorは「Camp Flog Gnaw Carnival 2023」と書かれたバッジをカメラに見せており、これは彼が2012年から主催していた音楽フェス「Camp Flog Gnaw Carnival」のことを指しており、4年ぶりに同フェスを復活させる意思を表しているようです。

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