2016年にXXL誌の「Freshman Class 2016」で21 Savage、Lil Uzi Vertらと共に選出され、翌年にデビューアルバム「Painting Pictures」(2017)をリリースし、全米チャート3位、R&B/Hip Hopチャート2位を記録したKodak Black (コダック・ブラック)。
今回は、このアルバムからリードシングルで、Southside、MetroBoomin、CuBeatzがプロデュースした「Tunnel Vision」(2017)をピックアップ。
ここでは、この曲と元ネタについて解説します。
Kodak Black – Tunnel Vision (2017)
“Tunnel Vision” 楽曲情報
レーベル
Sniper Gang Records
Atlantic Records
プロデューサー
Southside
MetroBoomin
CuBeatz
元ネタ・サンプリング
Inti-Illimani – El Aparecido (1971)
“Tunnel Vision” 元ネタ・サンプリング情報
Inti-Illimani – El Aparecido (1971)
元ネタになったのは、チリで結成したグループInti-Illimani (インティ・イリマニ)の「El Aparecido」(1971)です。
チリのサンティアゴの大学で結成されたこのグループは、ラテンアメリカやイベリア半島における左翼的な社会運動であり音楽ジャンルでもある「ヌエバ・カンシオン」で、その音楽は強い政治的メッセージを持ち、その後の政治運動にも使われることがありました。
チリでは、Inti-Illimaniが支持した社会主義者のアジェンデ大統領が当選した際の国歌となった「Venceremos」で広く親しまれ「El Aparecido」は1971年に発表したアルバム「Autores chilenos」に収録されています。
“Tunnel Vision” のMVについて明かす
「Tunnel Vision」は全米チャート4位を記録し、Kodak Blackにとって初のトップ10入りを果たし、MVは3億回再生されて彼の代表曲のひとつとなりました。
Kodak Blackのブレイクに大きく貢献したこの曲のMVは、当時のドナルド・トランプ大統領の選挙スローガン「Make America Great Again」にちなんで「Make America Hate Again」と書かれた帽子をかぶった白人男性が登場します。
さらに、この白人は黒人男性と取っ組み合いの喧嘩をし、その後ろにアメリカ国旗が登場するなど、人種差別をテーマにした作品に仕上がっています。
MVを担当したMichael Garcia監督は、Kodak Blackのメッセージに共感し、MVが過激になることがわかっていたものの、それにKodak Blackが賛同してくれたことに感謝していると述べています。
最初に曲を聴いたとき、Kodakのメッセージにぴったりだと思ったんだ。 俺自身、南フロリダ出身だから、彼のメッセージに共感したし、この街の若者たちが感じている葛藤にも共感したんだ。 「They wanna see you in a penitentiary」(彼らは君を刑務所で見たいと思ってる)というフレーズを聴いた瞬間にピンときたよ。 そして、Kodakにこれまでのビデオとは違う表情を与えたいと思ったんだ。 物議を醸しそうな、エッジの効いた作品であることは分かっていたけど、それはKodakも同じだね。 それこそが、俺にとってのパーフェクトなんだ。 彼がこのコンセプトを気に入ってくれたと知ったとき、彼がいかに勇敢なアーティストであるかがわかったよ。 俺が彼のムーブメントに賛同し、それを実現するために彼のリソースをフルサポートすることを許してくれたことに、本当に感謝しているよ。
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