2010年にYouTubeにフリースタイルの動画をアップしたことからラッパーのキャリアをスタートさせたTion Wayne (ティオン・ウェイン)は、2014年にデビューミックステープ「Wayne’s World」をリリース。
2016年に続編のミックステープ「Wayne’s World 2」を発表し、翌年にデビューEP「Transition」(2017)をリリースしましたが、同年にクラブの外で起きた100人規模の乱闘事件により、1年以上収監されることとなります。
出所後にリリースしたミックステープ「Wayne’s World 3」(2018)は、Russ Millionsとの収録曲「Keisha & Becky Remix」が1億回以上のストリーミングを記録。
また、2021年にRuss Millionsとの2度目のコラボシングル「Body」はTikTokでバイラルヒットし、UKドリルとして初めてUKシングルチャート1位を獲得。
さらに、同年にこの曲を収録したデビューアルバム「Green with Envy」(2021)をリリースし、UKアルバムチャート5位を獲得し、イギリスのラップシーンに確固たる地位を築きました。
そんな彼が、イギリスの若手ラッパーAitch (エイチ)をフィーチャーしたシングル「Let’s Go」(2022)をドロップ。
ここでは、この曲の元ネタについて解説します。
Tion Wayne feat. Aitch – Let’s Go (2022)
楽曲情報
Tion Wayne (ティオン・ウェイン)
出身地 :イギリス、ロンドン
生年月日:1993年9月1日
ジャンル:Hip Hop
Aitch (エイチ)
出身地 :イギリス、マンチェスター
生年月日:1999年12月9日
ジャンル:Hip Hop
レーベル
EastWest Records
Atlantic Records
Warner Music UK
プロデューサー
WhYJay
LiTek
元ネタ・サンプリング
Lil Wayne feat. Bobby V & Kidd Kidd – Mrs. Officer (2008)
“Let’s Go” 元ネタ・サンプリング
Lil Wayne feat. Bobby V & Kidd Kidd – Mrs. Officer (2008)
元ネタになったのは、ルイジアナ州ニューオーリンズ出身のラッパーLil Wayne (リル・ウェイン)の「Mrs. Officer」(2008)です。
Bobby V (ボビー・V)、Kidd Kidd (キッド・キッド)をフィーチャーした6枚目のアルバム「Tha Carter III」(2008)に収録され、アルバムからの5枚目のシングルとしてリリースされて、R&B/Hip Hopチャートで5位を獲得。
また、このアルバムはリリース前に収録曲の大半がネット上にリークし、大きく注目を浴びたこともあって、発売初週に100万枚を売り上げて全米チャート1位を獲得するという驚異的なセールスを記録しています。
このリークには、非公式ミックステープでLil Wayneの曲を大量にリークさせたEmpireという人物が関わっており、Lil Wayneは『DJ』とEmpireについて次のように語っています。
最初に言っておくけど、DJやミックステープのDJを軽視するつもりはないよ。 君がどんな種類のDJであっても、そういうことを言うつもりはないんだ。 特に俺とDrama、Khaled、そして俺のホームボーイであるニューオーリンズ出身のRaj Smoothは、みんなミックステープのことをやっているんだ。 だから、その事実を考えると、物事は大げさに考えすぎだと思うんだ。 このEmpireって奴と俺は一緒にやらないよ。 すべてのDJのためにこの事実を知ってほしい。 このディスはEmpireって奴のためにあるんだ。 俺はEmpireとは一緒にやってない。 もしお前が(ミックステープ)「Wayne's World Volume 1 to 7」を作ったのなら、お前の母ちゃんはビッチだし、もしお前がEmpireなら、俺はお前が明日二度死ぬことを望むよ。
多くの楽曲がリークしたにも関わらず、このアルバムは年間アルバムチャートで3位を記録し、Lil Wayneのベストアルバムのひとつとして評論家から絶賛され、ローリングストーン誌による「史上最高のアルバム500枚」に選ばれたほか、グラミー賞では「アルバムオブザイヤー」にノミネートされ「ベストラップアルバム」を受賞しています。
「子供の頃から好きな曲の1つなんだ」と明かす
Tion Wayneの「Let’s Go」は、イギリスのラッパーCentral Ceeのヒットシングル「Doja」(2022)も手掛けたWhYJay、LiTekがプロデュースしており、Tion Wayneは「これは俺が子供の頃から好きな曲の1つなんだ」と語っています。
「Doja」の元ネタはこちら。
これは俺が子供の頃から好きな曲の1つなんだ。 本当に好きな曲で、スタジオに向かう途中でビートを試したいと思って、Aitchは車の中でその曲を聴いて、スタジオで試してみたんだ。 それでAitchが自分で曲に乗せているのを見て、このビートならすぐに使えると思ったよ。 それで、一緒になって2曲のうちの1つを作ったんだ。 そのうちの1曲は、この曲とは別の曲だったけど、どちらもすごくいい曲だよ。
Tion Wayneは、この曲以外にもAitchとのコラボレーションがあることをほのめかしており、彼自身も気に入っているようなので、今後も新曲のリリースが期待ができそうですね。
この機会に、元ネタと併せて聴いてみてはいかがでしょうか。
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