1995年、服役中の2Pac (トゥーパック)がリリースした3枚目のアルバム「Me Against the World」は全米チャート1位を獲得。
このアルバムは、グラミー賞「ベストラップアルバム」にノミネートされ、収録されているシングル「Dear Mama」は「ベストラップソロパフォーマンス賞」にノミネートされ、評論家は「90年代のベストアルバムの1つ」と高く評価されています。
「Dear Mama」の記事はこちら。
同年、Death Row RecordsのSuge Knightは、2Pacの保釈金140万ドルと引き換えに、Death Row Recordsから3枚のアルバムをリリースする契約を結び、1995年にはレーベル移籍後初のシングル「California Love」(1995)をリリース。
Roger Troutman (ロジャー・トラウトマン)とDr. Dre (ドクター・ドレー)がゲスト参加したこの曲は「How Do U Want It」とダブルA面シングルとしてリリースされ、全米チャート1位を獲得しています。
ここでは、2Pacがカムバックを果たしたこの曲の元ネタについて解説します。
2Pac feat. Roger Troutman & Dr. Dre – California Love (1995)
楽曲情報
2Pac (トゥーパック)
出身地 :カリフォルニア州ロサンゼルス
生年月日:1971年6月16日
ジャンル:Hip Hop
没年月日:1996年9月13日 (25歳)
Roger Troutman (ロジャー・トラウトマン)
出身地 :オハイオ州ハミルトン
生年月日:1951年11月29日
没年月日:1999年4月25日 (47歳)
ジャンル:Funk
Dr. Dre (ドクター・ドレー)
出身地 :カリフォルニア州コンプトン
生年月日:1965年2月18日
ジャンル:Hip Hop
レーベル
Death Row Records
Interscope Records
プロデューサー
Dr. Dre
元ネタ・サンプリング
Joe Cocker- Woman to Woman (1972)
Ronnie Hudson & The Street People – West Coast Poplock (1982)
“California Love” 元ネタ・サンプリング ①
Joe Cocker- Woman to Woman (1972)
元ネタになったのは、イギリス出身のシンガーJoe Cocker (ジョー・コッカー)の「Woman to Woman」(1972)です。
この曲は、彼の3枚目のアルバム「Joe Cocker」(1972)に収録。
このアルバムは、彼がよりジャジーでブルースなスタイルに方向転換したことを示すもので、Joe Cockerのアルバムの中では珍しく、彼が6曲の作詞作曲を担当したアルバムとなりました。
また、後に「Something to Say」として1990年に改題されてリリースされ、1998年にリマスター盤がリリースされています。
“California Love” 元ネタ・サンプリング ②
Ronnie Hudson & The Street People – West Coast Poplock (1982)
2Pacの「California Love」は、カリフォルニア州ロサンゼルス出身のベーシストRonnie Hudson (ロニー・ハドソン)の「West Coast Poplock」(1982)もサンプリングしています。
ワシントンD.C.で育った彼は、16歳の時に友人であり師でもあるCharles Harringtonのバンドでベースを弾き、そこで才能を開花させ、Stax Recordsのレコーディングベーシストの1人となります。
同レーベルからIsaac Hayesと共にリリースしたた「Black Moses」は、1970年代のヒット映画「Shaft」のサウンドトラックとしてグラミー賞を受賞しています。
その後、2Pacが同曲をサンプリングしたことで注目を集め、2014年にはSnoop Dogg、Too $hortらとシングル「West Coast Poplock 2020」をリリースしています。
Ronnie Hudson feat. Snoop Dogg, Too Short, E-40, Celly Cel, Rappin’ 4-Tay – West Coast Pop Lock 2020 (2014)
終わりに
Dr. Dreがゲスト参加し、プロデュースしたこの曲は、もともと彼のアルバム「The Chronic 2」に収録される予定だったようです。
これはすでにRoger Troutmanがレコーディングしていた音源を聴いた2Pacがスタジオに入り、自分のヴァースを書き上げ、15分で完成させたようです。
その後すぐにMVが撮影され、最終的に2Pacのシングルとしてリリースに至ったようです。
このような経緯がありながら、生前最後のアルバムとして1996年にリリースされた「All Eyez on Me」にはリミックスバージョンが収録されるなど、彼の代表曲のひとつとなりました。
この機会に、元ネタと併せて聴いてみてはいかがでしょうか。
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