デビューアルバム「Illmatic」(1994)で史上最高のヒップホップアルバムのひとつと絶賛され、2000年代に入ってからも5枚のアルバムを発表し、9作目の「Untitled」(2008)で自身4度目の全米チャート1位を獲得したNas (ナズ)。
「Illmatic」に収録された「The World Is Yours」の元ネタはこちら。
ラップ界の重鎮の彼が、2010年にBob Marleyの息子Damian Marley (ダミアン・マーリー)とのコラボアルバム「Distant Relatives」をリリース。
このコラボレーションは、Damian Marleyのアルバム「Welcome to Jamrock」(2005)に収録されている「Road to Zion」での共演がきっかけで実現したようです。
今回はこのアルバムから、リードシングルでもある「As We Enter」(2010)をピックアップ。
ここでは、この曲の元ネタについて解説します。
Nas & Damian Marley – As We Enter (2010)
楽曲情報
Nas (ナズ)
出身地 :ニューヨーク、クイーンズ
生年月日:1973年9月14日
ジャンル:Hip Hop
Damian Marley (ダミアン・マーリー)
出身地 :ジャマイカ、キングストン
生年月日:1978年7月21日
ジャンル:Reggae
レーベル
Def Jam Recordings
Republic Records
プロデューサー
Damian Marley
元ネタ・サンプリング
Mulatu Astatke – Yègellé Tezeta
“As We Enter” 元ネタ・サンプリング
Mulatu Astatke – Yègellé Tezeta
元ネタになったのは、エチオピア出身の音楽家Mulatu Astatke (ムラトゥ・アスタトゥケ)の「Yègellé Tezeta」です。
彼は、ロンドン、ニューヨーク、ボストンで音楽を学び、ジャズやラテンとエチオピアの伝統音楽を融合させた「エチオジャズ」の生みの親と言われています。
彼のこの曲は、コンピレーションアルバム「New York–Addis–London: The Story of Ethio Jazz 1965–1975」(2009)に収録されており、彼の初期のキャリアであるイギリスからニューヨーク、そしてエチオピアの首都アジスでのレコーディングされた音源を収録しています。
Nasはこのアルバムのロイヤリティを寄付する
Nasは、このアルバムの売上げの全てをアフリカで活動する慈善団体に寄付しており、さらにアフリカに学校を建てたいという思いも明かしています。
このアルバムでアフリカに学校を建てようと思っていて、エンパワーメントをしようとしているんだ。 このアルバムでは、愛とかそういうものを示そうとしてる。 だから、この作品は......本当にフッドとアフリカについてのすべてでもあるんだ。
アルバムタイトルの「Distant Relatives」は直訳すると「遠い親戚」という意味で、NasとDamian Marleyの関係、彼らの共通のアフリカの祖先、そして全人類の共通の祖先から由来してこのアルバム名が付けられたそうです。
この機会に、元ネタと併せて聴いてみてはいかがでしょうか。
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