Jennifer Lopez (ジェニファー・ロペス)は、2002年に3枚目のアルバム「This Is Me… Then」のリリース後、俳優のBen Affleckとの2年間の交際が破局し、彼女は業界から一時的に離れることとなりました。
Jennifer Lopezはその期間について次のように明かし、2005年には復帰作となる3年振りのアルバム「Rebirth」をリリースしています。
私の人生はジェットコースターに乗っているような時もあったけど、アーティストとして、明確にするために時間が必要なの。 ファーストアルバムから大きく成長したわ。 ヴォーカルに自信が持てるようになったの。 歌の攻め方が違う、勢いのある曲をレコーディングするようになったわ。
今回は、アルバム「Rebirth」からのリードシングル「Get Right」をピックアップ。
ここでは、この曲の元ネタについて解説します。
Jennifer Lopez – Get Right (2005)
楽曲情報
Jennifer Lopez (ジェニファー・ロペス)
出身地 :ニューヨーク、キャッスルヒル
生年月日:1969年7月24日
ジャンル:Pop, R&B
レーベル
Epic Records
プロデューサー
Cory Rooney
Rich Harrison
元ネタ・サンプリング
Usher – Ride (2004)
Maceo & the Macks – Soul Power 74 (1974)
“Get Right” 元ネタ・サンプリング
Usher – Ride (2004)
元ネタになったのは、ジョージア州アトランタ出身のシンガーUsher (アッシャー)の「Ride」(2004)です。
この曲は、彼の4枚目のアルバム「Confessions」(2004)のためにレコーディングされ、ネット上で12インチレコードしてリリースされていました。
しかし「Confessions」には収録されず、その間にこの曲のプロデューサーであるRich Harrisonが、Jennifer Lopezに無断でトラックを渡していたようです。
事の発端は、Rich HarrisonがプロデュースしたAmerieのシングル「1 Thing」(2005)から始まったようです。
AmerieはRich Harrisonから「1 Thing」のトラックを手に入れ、レコーディングしましたが、レーベルがリリースを6ヶ月間に渡って拒否し、痺れを切らしたAmerieとRich Harrisonは正式にリリースしてもらうためにアメリカのラジオ局にリークさせました。
公式リリースではなかったため、レーベルメイトのJennifer Lopezはこの曲を自分のために欲しがっていましたが、ラジオ局でのエアプレイには多くのDJやリスナーの関心を集め、レーベル側もリリースに向けて動き出していました。
そこで、Rich HarrisonはJennifer Lopezに「Confessions」には収録されなかったUsherの「Ride」を提供し、彼女のアルバム「Rebirth」用にレコーディングしたようです。
また、アルバム収録を見送ったUsherは「まさかJ-Loがそのまま持っていくとは思わなかったよ」と明かしています。
アルバムに入れなかったのは、うまくいかなかったからだ。 でも、まさかJ-Loがそのまま持っていくとは思わなかったよ。
Amerie – 1 Thing (2005)
“Ride” 元ネタ・サンプリング
Maceo & the Macks – Soul Power 74 (1974)
さらに深堀りするとUsherの「Ride」は、ノースカロライナ州キンストン出身のサックス奏者Maceo Parker (メイシオ・パーカー)の「Soul Power 74」(1974)をサンプリングしています。
彼は、James Brownのグループでキャリアを積み、その後Parliament-Funkadelicなどのバンドメンバーとして活躍しました。
1990年代にソロキャリアをスタートさせ、アルバム「Roots Revisited」(1990)は、全米コンテンポラリージャズチャートで10週に渡って首位を獲得し、2000年代にはPrinceのバンドメンバーに加わるなど、サックス奏者として多くの作品に携わってきました。
そんな彼が、1974年に発表したシングル「Soul Power 74」は、James Brownのシングル「Soul Power Pt. 1」(1971)のインストに、Maceo Parkerのサックスのホーンパートを乗せたもので、R&Bチャートでは20位を記録。
後に、Black Machineの「How Gee」(1992)でサンプリングされたことで再注目され、これまでに100曲以上でサンプリングされています。
Black Machine – How Gee (1992)
おわりに
Jennifer Lopezの「Get Rigt」は、リリースに至るまでにプロデューサーのRich Harrison、Usher、Amerieなど意外な人物までも巻き込んでいることには驚かされました。
また、このシングルは世界18カ国のチャートでトップ10入りを果たし、2020年にはNFLのスーパーボウルで披露するなど、彼女の代表曲のひとつとなりました。
この機会に、元ネタと併せて聴いてみてはいかがでしょうか。
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